栃木県那須町にある北温泉「北温泉旅館」の宿泊レポートです。
最終更新日 | 2021/2/4 | 訪問日 | 2021/1・2015/9 |
【北温泉 北温泉旅館】基本情報
きたおんせん きたおんせんりょかん
住所:〒325-0301 栃木県那須郡那須町大字湯本151
TEL:0287-76-2008
公式サイト
緊急事態宣言が解除されるまでしばらくの間宿泊は素泊まりのみです。
⇒「北温泉旅館」へのアクセス詳細&宿泊予約はこちらのページへ
【宿泊料金】
1泊2食付 松7,900円・竹8,900円・梅9,900円 お一人様〇 素泊まり〇 湯治対応〇 自炊〇
自炊 3泊まで4,900円 4泊以上4,400円
*土日祝、GW・お盆・年末年始は特別料金
口コミ総合評価:Google 4.2点/5.0点
【こんな人におススメ】
◆テルマエロマエのロケ地になった宿に泊まってみたい
◆鄙びた温泉宿が好き
◆自炊湯治を体験してみたい
◆那須岳登山の基地に
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【日帰り入浴】
営業時間:8:30~16:30受付(17:30退館)
料金:大人700円 小人400円
【江戸時代の部屋で自炊湯治初体験!北温泉旅館 お部屋編】
「北温泉旅館」は、福島県との県境近く、栃木県那須町の最奥、標高1,300mの谷底にある一軒宿です。
今回は、江戸時代に建てられた客室に宿泊し、自炊湯治初体験をしてきました!
映画「テルマエロマエ」で有名になった温泉旅館
この「北温泉」は、那須連山の下山ルートに「⇒北温泉」という看板が出ているので、登山者には以前から下山後のひと風呂に立ち寄る温泉宿で知られていたかもしれません。
それが、2012年に上映された『テルマエロマエ』で北温泉が登場したことから、一気に全国的に有名になりました。
映画の中ではヒロイン(上戸彩さん)の実家が経営する温泉旅館として登場し、主人(父)は仕事そっちのけで常連さんと温泉にばかり入っているので経営が傾きかけているという設定になっています。方言は「〇〇ねし」と言っているので津軽にある旅館という設定でしょうか。
「北温泉」だけでなく、シリーズⅠⅡを合わせると全国的に有名な温泉がいくつも出て来るので、行ったことのある人はニンマリしながら楽しめる映画です。
そんな映画のヒットにより、「北温泉」は、いわゆる「素人にはおススメできない」ボロい宿や鄙びた温泉、廃墟系旅館のカテゴリーで人気が出ました。
今回宿泊した江戸時代の「松の間」に関しては、タオルなし、浴衣なし、歯ブラシなどのアメニティもゼロ、布団はセルフ、テレビは有料、厳寒期なのに部屋にはこたつだけという・・・。
映画のイメージだけで泊まりに来たお客さんには何も知らなかった、裏切られた気分だと不評ですが、秘湯好きにはだがそれがいい!と絶賛されており、評価が真っ二つに分かれる旅館です。
もちろん、私は後者に入ります。
「北温泉」の歴史
「北温泉」の開湯伝説ですが、1,300年以上前に天狗により発見されたと言われ、館内にある「天狗の湯」が名物になっています。
2021年を基準に1,300年前というと奈良時代になりますが、ここでいう1,300年前というのはネットが普及する20世紀後半を基準にしているだろうと考えられるので、奈良時代よりも前ということになりそうです。
そもそも天狗が実在したのかという突っ込みがありそうですが、『日本書紀』(舒明天皇9年2月-西暦637年)に初めて登場しています。あのような見た目の人だか神だか妖怪だか知りませんが、人々に目撃されていたということで年代的にはあり得ないことでもなさそうですね。
「天狗の湯」には修験者が入っていたそうですが、役の小角が活躍したのも飛鳥時代と言われており(実在したかは不明)、こちらも年代的に合っていそうです。
その後の歴史ははっきりしませんが、いくつもの源泉が枝葉のように分かれて湧いていることから初めは「岐多温泉」と呼ばれ、そのうち「北温泉」に改められたそうです。
旅館としての創業は江戸末期の安政5年(1858年)。
今回宿泊した「松の間」も創業当時の建築です。自炊の場合は「松の間」が指定されます。
他に、明治時代の「竹の間」、昭和時代の「梅の間」とあります。
「松の間」、「竹の間」は100年以上まえにタイムスリップしたかのような雰囲気、「梅の間」でやっと昭和時代の湯治場らしい部屋に感じられるかもしれません。
でも、なんだかんだ言って「天狗の湯」と炊事場に近い「松の間」は便利だし、値段も安くて常連さんには人気があるようです。
【駐車場から宿までは徒歩で。準備する荷物もたくさんある。】
「北温泉」へは送迎もなく、バスがありませんので(最寄りでも1キロ以上離れています)、車が便利です。
駐車場から雪道を450mくらい下ってきます。
圧雪はしてありますが、そこそこの急坂なのでスノーブーツに登山用のストックで歩いてきました。
玄関には靴にかませる縄のわっかが置いてありましたが、往きは駐車場のどこかに置いてあったのでしょうか。あればそれを使うと滑りにくくなって便利です。
自炊でしたが荷物は最小限に、35Lリュックに詰め込める程度にしました。
それと自炊の場合、フェイスタオルとバスタオルは販売になりますので(200円と800円)、面倒でも持ってくる必要があります。
訪問した日は那須インターから一軒茶屋付近までは気温4度、那須湯本から急に気温が下がり、駐車場ではマイナス6度でした。
標高が1,300mありますので、冬は雪の降る東北の平地よりも寒いと思っておいた方が良いです。
江戸時代の「松の間」にはこたつしかありませんので、厚着でそのまま寝られるような恰好(ダウンやフリース等)で行くと荷物も増えず便利です。
【北温泉旅館 安政時代の客室「松の間」お部屋編 】
玄関に入ると目の前に年季の入ったロビー
「テルマエロマエ」では、宿の主人と常連さんたちが団らんしている場所として出てきました。
フロント
スタッフはアルバイトか常駐スタッフか女将さんかその時によって違います。
女将さんは中国出身のようですが、日本語は普通に話せます。
「北温泉旅館」には看板猫が2匹います。
写真の茶トラは「マル」♂2歳、もう1匹の三毛猫は「モモ」♀11歳です。
受付で記帳を済ませると部屋まで案内と簡単な説明があります。
荷物は運んでもらえず、説明は本当に最小限ですので、一般的な旅館のサービスが受けられると思っていくと戸惑うと思います。
事前にあるもの、ないもの、できること、できないことはある程度知っておかないと、この旅館の本当の良さを知らずに帰ることになるかもしれません。予習は必要だと思います。
ロビーの裏から階段を上がって2階の客室へ。
部屋に金庫はないので貴重品が気になる方はここへ(100円有料)。
通路の右には宿泊者専用の「図書室」があります。
奥にはコミックなどがぎっしり詰まった本棚があります。
通路には古道具
皇室カレンダー
並びを見て令和だと感じます。
昭和天皇もお見えになったそうです。
携帯電話はほぼ通じないので、公衆電話があります。
ドコモユーザ―ですが、一瞬だけどこかで電波が入ったのか、ショートメールが届きましたがそれきりでした。
部屋にはパスワード付きのフリーWiFiが通っています。
ニュースサイトのアプリは見れましたが、YouTube動画はアプリを開いても画面が表示されないくらいの重さです。
仕事をしようと思っている方は用が足りないかもしれません。
2階に上がる階段
左に行くと女性専用内湯「目の湯」、明治時代の「竹の間」
右に行くと混浴内湯「天狗の湯」、江戸時代の「松の間」があります。
廊下はランプの明かりで人の顔がやっと分かる程度。
床は黒光りしていて歩くとギシギシと音が鳴ります。
「松の間」入口前
外からも中からも鍵はかかります。
でも、客室の壁も薄いので、会話の内容やいびきも丸聞こえではないかと思います。
とはいえ、なぜか、宿の雰囲気からはそれが当たり前だと思えるので、たいして気になりません。お互い様です。
入口から見た客室
和室6畳間、トイレ・洗面台共同です。
奥から
鏡台には小さな液晶テレビ。
コイン式になっていて1時間100円です。
空の冷蔵庫
今回は自炊だったからか。冷蔵庫はどの部屋にも置いてあるわけではないようです。
でも、部屋が寒いので冷蔵庫は要らなかったです。
布団はセルフです。
敷布団、掛け布団、毛布、まくらが2組ありました。
羽根布団ではなくせんべい布団です。
一人分のシーツと枕カバー
浴衣やアメニティはないと気づきました。
いつも自前のアメニティを持ち歩いているので困りませんでしたが、忘れたら売店でも売っています。
ただ、ティッシュは売っていなかったと思うので、ティッシュは持参した方が良いですね。
部屋の中央にはこたつ。
灰皿が置いてあり、基本的に全室喫煙OKみたいです。
室内の気温は0度前後だと思いますが、暖房器具はこたつだけでした。
部屋の中でも外を歩いてきたのと同じ格好をしていたのでこたつに入っている限りは特に寒くありませんでした。
ちなみに、昭和時代の「梅の間」にはヒーターもあるようです。
明治時代の「竹の間」はあまり情報がありませんね。
お湯の入ったポットと緑茶のTバッグは山ほどありました。
ただ、味は薄いので、湯のみ1杯に3パックくらい入れないと緑茶の色が出ません^^
ポットのお湯がなくなったら、フロントの横にあります。
写真を見て気づきましたが、こたつの布団カバーが破けていましたw
猫が出入りするような宿なので、自然と細かいことは気にならないような心理状態になっているのですね。
動物が出入りするなんて信じられないとか、潔癖症の人にはつらいと思います。
お茶菓子は置いていないであろうことを予測して、事前に買ってきました。
室内はたばこ以外火気使用厳禁ということなので、部屋でカセットコンロで鍋をしたりすることもできません。
広縁はなく襖と窓の間に洗濯物を干すスペースがありました。
ここが寒くて冷凍庫にちょうど良いと、食材を置いておきました。
布団は部屋に入ったらすぐに敷きました。
寝る時はこたつに半身を突っ込んで寝ると寒くありません。
夜中にトイレに行きましたが、廊下はヒーターがついていたので部屋より暖かかったです。
夕食を食べ終えて炊事場に片付けに行ったら、部屋の前で猫が待っていたので部屋に入れると・・・
こたつが目当てだったみたいですw
でも、30分もしないうちに帰りたいアピール。
結局、朝もトイレの帰りに後をついてきてこたつに入ってきました。その後はお風呂にもついてきました。
廊下を歩いている時に、部屋が開いていないか、人がいないかチェックして回っていましたよ。
なので、猫好きと分かれば高確率で部屋に遊びに来ると思います。
写真のマルちゃんは人毛並みも綺麗だし、人懐こいけれど粗相はしない猫なので、歓迎でした。
モモちゃんの方は年が離れすぎていて気が合わないとかで、あまり一緒に行動するのが好きではないらしいです。年のせいもあって寒いのか、今回は出てきませんでした。
モモちゃん
お部屋の紹介は以上です。
【北温泉旅館 共用スペース】
続いて共用スペースへ。
松の間を出て廊下をまっすぐ奥へ行くと「天狗の湯」があり、その前に洗面台、トイレ、炊事場があります。
炊事場の紹介は「その2お食事編」で。
洗面台にはドライヤーがあります。
中央は温泉水が出しっぱなしだったので、冬でも顔を洗いやすいです。
洗面台の左側には男女別のトイレがあります。
ここは洋式の水洗トイレがありました(温熱便座あり、ウォシュレットなし)。
他に見た限りでは女性専用内湯「目の湯」の近くと男女別露天風呂「河原の湯」の手前にもトイレがありましたが、そちらは全部和式でした。
トイレの水は湧き水を使っているのか、水がたまるまで10分くらいかかるので、レバーは最後に1回だけと書いてありました。
土臨機の自動販売機は1階の帳場近く。
ソフトドリンク、アサヒスーパードライ、缶酎ハイ、ワンカップ酒がありました。
ペットボトルの水で200円するのでやや割高です。
ちょっとした食べ物やアメニティは帳場横の売店で売っています。
おつまみ小袋1つ30円、ポテトチップス他お菓子150円
スナック菓子150円
カップ麺200円
お酒
冷酒800円、梅酒1,300円、焼酎(いいちこ20度)1,600円、焼酎(いいちこ25度)1,800円、ワイン1,200円
冷蔵庫の中にソフトドリンク250円
使い切りのシャンプー&リンス150円、せっけん50円、ひげそり?円、
オリジナルトランプ200円、絵馬 大1,000円、小400円
けん玉500円、こま500円、おはじき300円、濡れると広がるマジックタオル300円、圧縮タオル500円
ネーム入りフェイスタオル200円、バスタオル800円
卓球のラケットとボールのレンタル
卓球台は明治時代の「竹の間」の近くにあるようです。
売り物なのか飾りなのかわからないコーナー
【北温泉旅館の動画 前半】
前半は奥那須からの道のり~館内~客室~天狗の湯(猫と一緒)まで
0:00 イントロ
0:21 北温泉の概要
1:51 北温泉までの道のり
4:38 北温泉の館内
6:37 松の間の客室
9:01 館内散策
12:43 温泉案内
13:11 天狗の湯
【北温泉旅館の動画 後半】
後半は残りの温泉6か所、自炊の様子、寝る準備(猫乱入)、おまけで那須周辺の観光動画を載せています。
0:00 温泉案内
0:18 打たせ湯
0:57 家族風呂
1:26 目の湯へ
2:20 目の湯(女性専用内湯)
3:41 河原の湯へ
5:14 河原の湯(露天風呂)
6:13 温泉プール
8:04 相の湯(内湯)
8:55 夕食タイム(自炊)
11:19 就寝前に猫乱入
12:17 朝食タイム(自炊)
12:41 駐車場まで歩く
13:24 おまけ 那須周辺観光
【北温泉旅館 お部屋の感想】
5年ちょっと前に日帰りで訪問し、館内の雰囲気はおおよそ掴めていたせいか、古さや設備が不十分である点については想定の範囲内でした。
その頃テレビで放映していたのが、どれだけ古くて不便で食事も粗末なのかを強調するような番組だったので、最悪こんな感じかと想像はできてました。
でも、実際に泊ってみたら、テレビも冷蔵庫もあるし、Wi-Fiまであるしで、江戸時代の建物にしては意外と快適だなと思ったくらいです。
今回はこれでもかというくらい猫と遊ぶ機会に恵まれ、その点でも満足でした。
冒頭で「素人にはおススメできない宿」と書きましたが、山奥なので山小屋レベルと考えるか、映画を見ただけで鄙びた雰囲気の良い和風旅館と期待したか、訪問する前にどっちに想像が傾いているかで感想が異なりそうですね。
よく見かける光景ですが、ご主人は秘湯好き、奥様はモダンで小奇麗な旅館が好きという夫婦がいたとして、ご主人が独断でこういう宿に奥さんを連れて行くと喧嘩になります、とだけ付け加えておきます(笑)
部屋の広さ ★★★ 3.5(6畳間基準)
設備 ★★★ 3.0
アメニティ 0
清潔感 ★★★ 3.0
宿の雰囲気 ★★★★ 4.4(マニア基準)
接客サービス ★★★ 3.0
*ブログの内容は掲載時の情報です。
基本情報の変更がある場合もございますので、お出かけの際には施設にお問合せ下さい。
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