長野県茅野市にある奥蓼科温泉郷「渋・辰野館」の入浴レポートです。
最終更新日 | 2020/8/27 | 訪問日 | 2017/8月中旬 |
【奥蓼科温泉郷 渋・辰野館】基本情報
おくたてしなおんせんきょう しぶ たつのかん
住所:〒391-0213 長野県茅野市豊平4734
TEL:0266-67-2128
公式サイト
【宿泊料金】
1泊2食付12,450~21,690円 お一人様△ 素泊まり× 湯治× 自炊×
口コミ総合評価:Google 4.4点/5.0点
【こんな人におススメ】
◆硫黄泉のにごり湯&冷泉が好き
◆蓼科周辺で評判の良い宿を探している
◆鄙びていてセンスの良い宿が良い
◆八ヶ岳・天狗岳の登山基地に
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【日帰り入浴】
営業時間:11:00~16:00
料金:1,650円
定休日:不定休 *要予約
*冬期~GWまで「森の湯」は閉鎖
【白樺の森にたたずむ一軒宿 渋・辰野館 日帰り入浴】
「渋・辰野館」は八ヶ岳連峰西麓の標高1,700mにあるレトロモダンな温泉宿です。
開湯は奈良時代・延暦2年(783年)。諏訪大社のお告げにより発見。
戦国時代は武田勢の負傷兵を癒す「信玄の薬湯」と呼ばれるようになりました。
「渋・辰野館」は創業100年を超える老舗旅館。
外観も館内もかなり鄙びていて昔の湯治宿を思わせる雰囲気。
2キロ奥にある「渋御殿湯」と泉質はとても良く似ていますが、宿のタイプは対極にあるのではないかと思います。
「渋・辰野館」は白樺林に囲まれた蓼科のリゾートらしい雰囲気と、彩り鮮やかな食事で、女性客やファミリーを中心に人気があります。
源泉温度20度前後の冷鉱泉と加温した浴槽との交互浴でプチ湯治気分を味わえるので、普通の宿では物足りない温泉通にも人気の宿です。
大型ホテルの多い蓼科高原の中心部から車で15分ほど「湯けむりライン」を上がってくると「渋辰野旅館」と書かれたレトロな看板が出ています。
「辰野」というのは、館主の苗字です。
向かいのバス待合所もレトロ。
ちょうどチェックイン前後の時刻だったため、日帰り客と宿泊客で車はほぼ満車。翌日通りがかった時も日帰り客で混んでいました。
玄関までのアプローチも白樺に囲まれていてリゾートらしい雰囲気。
高僧なのか武田信玄公なのか石像の祠。
隣には「千山の鐘」もありました。
「渋・辰野館」の玄関前
看板も玄関の扉も渋いです。
左に見えるのは食事処と浴場のある建物。昭和初期の建築ということでかなり年季が入っています。
玄関に入ると吹き抜けのロビー。
玄関左にフロント
日帰り料金を払って浴室へ。
ちなみに、一部のネットでは日帰り入浴も要予約とありましたが、今回は夏休みだったからか特に予約はせずとも大丈夫でした。
ただ、不定休なので、特に夏場以外は事前に電話確認がおススメです。
2階から見たロビー
建物自体はとても古いですが、山小屋のようなウッディな壁とペンダントライトがレトロモダンな雰囲気を演出しています。
客室が2階~4階、浴室が1階にあるので、宿泊する場合には階段の上り下りが結構大変そうでした。
浴室は玄関正面の階段を上がって左の廊下を奥へ、階段を降りたところにあります。
途中の窓から見えた建物。
客室としては使われていないのか、すごく古いですが昔のリゾートホテルはこんな感じだったのかなという雰囲気の建物。
「渋・辰野館」のお風呂は、
- 森の温泉(男女別 加温内湯各1・非加温打たせ湯付露天風呂各1 )*冬期~GWまで閉鎖
- 信玄の薬湯(男女別内湯各2 ー非加温打たせ湯1、加温1)
- 展望大浴場(男女別内湯各1 -非温泉)
があります。
「展望大浴場」は非温泉ですが、シャワーとシャンプーが置いてあるのはここだけなので最後の上がり湯用です。
残る2つは源泉浴槽がありますが、お湯の濃さでは「信玄の薬湯」>>「森の温泉」なので、初めに「森の温泉」で森林浴してから「信玄の薬湯」で源泉を味わうのが良いかと思います。
各浴室の案内
【渋・辰野館 森の温泉】
まずは、露天風呂もあり白樺の景色を楽しめる「森の温泉」から。
「森の湯」男女別入口
入口横には「少名毘古那神(少彦名命)」の祠がありました。
渋温泉の開湯は奈良時代とされていますが、神代に薬湯として発見されていたという言伝えもあるそうです。
少名毘古那神は医学・薬学の神様で、大国主命(諏訪大社の建御名方命の父神)とともに国造りに貢献した神様。
すぐ下には「信玄の薬湯」もありますが、源泉の掲示は1つだけなので同じお湯なのかな。
女湯入口 宿泊しても入浴時間は22:30までと書いてありました。
浴槽が90cmと深いらしく、ここまでの深さがあると書かれた木板が置いてありました。
脱衣所内は棚と籠にベンチだけ。
非温泉の「展望大浴場」以外は洗面台もドライヤーもありません。
ドアを開けると内湯と地続きになった露天風呂がありました。
古くからある湯治場の雰囲気を残したレトロな浴室です。
内湯は3~4人サイズ。41度くらいに加温されていて、熱すぎずぬる過ぎず。
微たまご臭あり。細かな湯花が舞っていますが、濁りはうすめ。
加温循環ろ過ありでも塩素臭はせず。
露天風呂の方も3~4人サイズ。高い所から打たせ湯で源泉が投入されています。
温度は20度ちょっと。
お盆過ぎの晴れた日でも標高が高いため、気温は22度前後。
ただでさえ涼しい避暑地なのにサウナの水風呂に入るような感覚です。
薬効成分のせいか、ただ冷たいだけでなく1分を過ぎたころからビリビリしびれてくるような感覚もありました。
自家源泉「奥蓼科温泉 渋鉱源泉」泉温21.2度 湧出量 -(自然湧出)
泉質:単純酸性冷鉱泉(酸性低張性冷鉱泉)pH2.71
白樺林を見ながら森林浴ができるので、宿の中では一番雰囲気の良いお風呂です。
ただ、入浴していると打たせ湯の水しぶきが飛んできます。お湯は酸性なので目に入ると少し沁みるかも。
湯舟の底にはパウダー状の湯花
せっかくの冷泉を落とすのがもったいなくて、加温浴槽にはほとんど入りませんでした。
身体が冷え冷えになりつつも、服を着ると内部からポカポカしてきます。
【渋・辰野館 信玄の薬湯】
「森の温泉」から半階降りたところにある「信玄の薬湯」。
源泉は同じでもなぜかこちらの方がお湯が濃いのです。もしかすると別源泉なのかもしれませんが。
別の案内板には、1日3回まで、1回の入浴は15 分以内と書かれていました。
こちらの浴室も新しくリフォームされつつ、昔ながらの湯治場の雰囲気を保っています。
内湯だけで窓も開いていないからか、たまご臭が強く、お湯も濃そうな感じがします。
「信玄の薬湯」は3つ浴槽がありますが、手前は飲泉用なのか、調整用なのか、「こちらは入れません」と書いてありました。
真ん中の浴槽は打たせ湯になった冷泉。3~4人サイズ。温度は20度。
先ほどの「森の温泉」といい、冷泉浴槽はなぜ打たせ湯にこだわるのか、信玄は頭からかぶっていたのかな。
水しぶきが万遍なく飛んでくるので、メガネや貴金属を身に付けていると錆びます^^
透明度は高いけれど、粒子状の湯花が大量に舞っています。
奥にあるのは41度に加温された浴槽。4~5人サイズ。
窓の外の白樺林の景色も楽しめます。
さきほどの「森の温泉」にあった加温浴槽よりも濁りが強く、透明度は15センチくらい。
心なしか滑らかに感じ、視覚的にも「にごり湯に入っている~」という満足感が得られます。
隣りの冷泉浴槽に切り込みが入っていて、新湯が流れてくるようになっていました。
だから、加温浴槽でもお湯が濃く感じるのかな。
雰囲気では「森の温泉」の露天風呂が良かったですが、お湯は「信玄の薬湯」の方が濃くて良かったです。
【渋・辰野館 上がり湯に展望大浴場】
今回は硫黄まみれで帰りたかったので利用しませんでしたが、上がり湯と洗髪するための「展望大浴場」があります。
こちらは温泉ではなく天然水を加温したお風呂です。
左右に2つの浴槽がありましたが、左の方は空でした。
お風呂からは芝卯hと白樺の森が見えます。
洗い場は左右に5か所。シャンプー類はDHCでした。
洗面台にドライヤーがあるのもここだけ。
今回は日帰り時間の終わりだったので誰もいませんでしたが、日帰りにせよ宿泊にせよ、人気の宿なのでドライヤーが一つしかないと不便なのかなという気はします。
【湯上り後のサービス】
湯上り後はロビーに戻って景色を眺めながらお茶をいただきました。
麦茶とかりんとうのお菓子が置いてありました。
ロビーの窓は広く取ってあって白樺林の景色を楽しめます。
そういえば、館内ではお香が焚いてあり、BGMもジャズが流れていて、おしゃれな雰囲気の演出に一役買っていました。
ロビーの片隅にはお土産コーナー
湯の花が売っていたので買って帰りました。
【渋・辰野館 館内 客室と食事】
ロビーから2階に上がる階段の通路には東山魁夷の「緑響く」の絵画が(本物は信濃美術館所蔵)。
「渋・辰野館」から車で5分のところにある「御射鹿池」という人工池がモデルになっています。
東山魁夷が「渋・辰野館」に1週間滞在した時のスケッチがを基に作成されたそうです。
実物の「御射鹿池」。
撮影目的ならば、新緑の季節か紅葉シーズンの晴れた日の午前中が良いのではないかと思います。
2階の壁に飾ってあった昭和30年代の芸能人と館主の写真。
誰だかわかりますか?
浅丘ルリ子さん(当時14~15歳?)のデビュー作の時の来館のようです。
「渋・辰野館」客室入口のドア
ロビー周りとは違い、客室は昭和のままです。
客室内部の写真(画像は宿提供/じゃらん)
中は見ていませんが、昔ながらの純和風旅館の部屋ですね。
食事処入口
夕食一例 (画像は宿提供/じゃらん)
「渋・辰野館」の食事は色とりどりの野菜のオードブルや器の演出が凝っていて、このあたりが女性に人気の秘訣なのかもしれません。
真夏のハイシーズンは一人旅の受付をしていないので、いずれ機会があれば宿泊したなと思っています。
シーズンオフの冷泉はつらいだろうけれど・・・・。
【渋・辰野館の動画】
森の温泉⇒信玄の薬湯⇒展望風呂⇒ロビーでのお茶の順に撮影しています。
【渋・辰野館 温泉の感想】
白樺林に囲まれたレトロな宿ですが、ロビー周りは現代風にアレンジされていて、BGMやお香の香りなど、普段は鄙びた宿を利用しない客層でも利用しやすいおしゃれな雰囲気が漂っていました。
浴室も湯治場のようなレトロな雰囲気を残しつつ清潔感もあり良かったです。泉質については文句なし。
ただ、建物自体はとても古いです。客室についているトイレはウォシュレットだそうですが、共同トイレは温熱便座はあれど洗浄式はついておらず一部和式トイレ等、設備の面では昭和の湯治宿とそれほど変わらない印象でした。エレベーターもないので年配のお客さんは階段の上り下りが少し大変かも。
完全にリフォームされているわけではないので、いまどきの和モダンな宿をイメージして行くとあれ?と思いそうなのが微妙なところです。
でも、温泉と食事が良ければ少々不便な方が秘湯らしくていいという人にはドンピシャの宿なのではないかと思いました。
接客に関しては日帰り利用なので特に気になりませんでしたが、観光ホテルのようにあれこれ世話を焼いてくれるような雰囲気では無そうに思いました。
泉質 ★★★★4.2(薬湯は4.4)
お風呂の雰囲気 ★★★★4.3
清潔感 ★★★★4.2
接客サービス ★★★★4.0
【渋・辰野館 温泉情報】
◆お風呂
男女別大浴場 内湯各4(うち1つは非温泉) 露天風呂各1
◆源泉 H21.5月の分析書
自家源泉「奥蓼科温泉 渋鉱源泉」泉温21.2度 湧出量 -(自然湧出)
泉質:単純酸性冷鉱泉(酸性低張性冷鉱泉)pH2.71 *硫黄の成分が規定値を超えるので「硫黄泉」と同じ
蒸発残留物 463mg/kg 溶存物質(ガス成分を除く)513.9mg/kg 成分総計1,1063mg/kg
メタケイ酸96.8mg、遊離二酸化炭素511.5mg、遊離硫化水素2.4mg/kg
態様
源泉槽:源泉かけ流し、加水・加温なし、塩素消毒なし、飲用可
加温槽:加温あり、循環ろ過あり
*ブログの内容は掲載時の情報です。
基本情報の変更がある場合もございますので、お出かけの際には施設にお問合せ下さい。
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